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店主のひとりごとワールド


【アロマテラピーとの出会い その3】
無事に試験も終え、小さなショップを手作りして仕上げました。
しかし、精油をどこから仕入れるかという大きな問題が残っておりました。
いろいろ情報を集めながら、慣れ親しんだ香りのT病院の精油が気になり、お店で扱うブランドの最終候補としてT病院の女性スタッフにブランド名を訊ねてみると、なぜか秘密めいてそっと紙に書いて渡してくれるではないですか。今、思うとお客に訊ねられたらブランド名を教えることは当たり前のことで、そのやりとりを思い出すたびに不思議な気がしますが・・・。

とにかくも、いままで自分がT病院で買っていた精油が、アロマテラピーに詳しい理事長自らが選んだイギリス・オックスフォードのエッセンシャリーオイルズ社であることが判明。
「病院が取り入れているブランドなら安心」とエッセンシャリーオイルズ社を「月の花」のメインブランドとし、直輸入をスタート。やっとアロマテラピーショップのオープンを迎えようとしておりました。
ヒーリングの曲が流れるなかで、ゆっくり座って精油を選んでもらえるようにお店の中にテーブルと椅子を置いて。オリジナルブレンドのハーブティーも楽しめて・・・。

ところが精油を注文してから約1カ月。いつまで待っても商品が届かない。
「そんなはずはないよね。いくらなんでももう届くはず。」でも届かない。
とうとうお店のオープン予定日になり、それでも来ない。
個人輸入の経験のある方なら、もうお気づきですよね。そうです。私は日本の常識を海外の業者との取り引きにそのままあてはめるという大きな失敗をしていたのです。
注文があれば、即発送。催促があれば、即返答。そして遅れれば謝る。
これは世界に誇るべき?日本のすばらしいビジネススタイルであって、他の国にはこの流儀は通用しないわけですよね。

「商品がまだ届かない」と督促すれば、
「ヨーロッパは今バカンスの時期。みんな仕事を休んでいるのに、ウチは営業しているんだ」と
黙って待っていろと言わんばかりの返事がやっと返ってくる。
その後の取り引きでも、こうしたやりとりは続き、待ちきれずに
「商品がまだ届かない。発送はいつ?」と聞けば
「発送したばかりだ。もうすぐ届くはず」と返ってくる。
(アンタはソバ屋の出前か!?と思った回数はホントに数えきれない)
クリスマスシーズンなどは極めつけで、発送が遅れに遅れ、何度もメールで督促すると
「いまウチは1年で1番忙しいシーズン。いちいちメールに返事なんかしてられない」という返事。
そういえばみんなで頼めば安くつくとかいって、その昔、ウエッジウッドの食器を直輸入しようとしたら、とんでもなく時間がかかったうえ、商品を少しずつ送ってくるという経験をしていたことを思い出したけれど、 もう後の祭りでした。
ため息まじりにT病院のスタッフに話をしてみると
「そうですねえ。ローズの精油なんかが注文に混ざると1カ月くらい平気にかかりますよ。それに彼らはどんなに自分が悪くても謝らないしね」とのこと。
とほほ・・・。最初にこうした状況を把握していなかった私が悪いことは明白。
まあその後はペースをつかんで早め早めの注文をするように改善したので、ハラハラするようなことはなくなりましたけど。
(しかしイギリスの名誉のために付け加えるならば、並行して取り寄せ始めたイギリス・クインエッセンスなどはきっちり迅速に発送してくれ、対応も非常にスマートです。バードウィンもカルペパーハウスも良かった)

こうしてオープンした「月の花」。
「夜、寝つきが悪くて・・・」というマイナートラブルの人から「離婚の危機にある妻の気分を和らげる方法はないでしょうか?」という若い男性まで本当にいろんな人がお店に来てくれます。
時にはアロマの達人が見えて、ちょっと困ったり(笑)。
小さな「月の花」で流れる時間は、なかなか味わい深く、ちょっぴり人生の色まで変わったような気がしました。
もし、あの時、あの病院でアロマテラピーに出会わなかったら、今頃どうしていたのか。
「神のみぞ知る」答えですね・・・。
(しかし、人生には神のみぞ知ることがなんと多いことか!)

〜この項〜END

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